FAIRR:気候変動に対する日本のパラドックス – 国が持つ野心とグローバルで求められるものとの比較

更新日:10月25日



長い間延び延びになっていた第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が、1か月後にスコットランドのグラスゴーで開催される。グローバルリーダーが集まってパリ協定の進捗状況を評価し、気候に関する目標達成に必要な取り組みを定義するにあたり、地球温暖化を2度未満に抑えるために各国が大きな役割を果たすことになる。世界第3位の経済大国であり、世界で6番目に多く温室効果ガスを排出している日本が排出量削減に取り組むことは、地球規模の気候変動に対する目標達成に向けて重大な決定要因となる。 排出に関するこれまでのストーリー 2019年度の日本の温室効果ガス排出量は1990年代より2.7%増加し、 ピークに達した2013年には、福島原発事故の影響による化石燃料への依存で合計14億1,000トンが排出された。脱炭素化に向けての日本のこれまでの努力は有益な結果をもたらしており、6年続けて排出量が削減し、2020年3月には 2.7%の減少を達成している。しかしながらクライメート・アクション・トラッカーは、日本の目標及び脱炭素化に向けての努力は十分ではなく、パリ協定遵守への「公平な役割分担」ではないと評価している。 日本は温室効果ガスを2050年までに80%削減することを目標としている。エネルギー部門による合計排出量への貢献を考慮すると、地球温暖化を防ぐための第一歩は、2013年には12%であった非化石燃料のエネルギーミックスを2030年までに44%に増加することだろう。 これに伴い、日本は長期的戦略として、工業プロセスから発生する温室効果ガスの排出量削減も掲げている。現在提案しているソリューションでは、温室効果ガスを分離して大気拡散前の生産資源として使用することで気候変動の問題を解決しながら、生産性の向上を目指している。 日本が持つビジョンには、国内の温室効果ガス排出を大きく削減するために農業分野の脱炭素化も含まれている。現在のところ農業分野からの排出は、主に稲作(33%)、家畜ふん尿(25%)および 腸内発酵(23%)となっている。しかしながら過去数十年の肉の消費量の増加によって食生活が大きく変わり、国民が消費する食品が「グローバルで1.5度」に対する日本の貢献を無駄にしてしまう可能性がある。 肉の消費に対する対応 日本人の食生活において肉が占める割合は過去数十年で大きく上昇し、米や魚、野菜を中心とした従来の食生活から大きく変化した。2018年度の肉の消費量は20年前から17.6%上昇し、 同期間における魚介類の需要は34.7%減少している。 消費者トレンドにみられるこの大きな変化は、所得水準の向上と食品サプライチェーン全体の変更によるものと思われる。肉を販売するスーパーやファーストフードレストラン、およびコンビニの増加に伴い、人々は家庭やレストランで肉を好んで食べるようになった。 肉の消費量は国内生産量を大きく上回り、1998年から2018年3月までの間に8.7%の上昇を見せた。これによって自給自足が困難となり輸入が増加し、国内の食料安全保障が危険にさらされることとなったのである。2019年度の日本の鶏肉、豚肉、牛肉、子牛肉の輸入量は2011年から25% 増加し、ブラジルやオーストラリア、アメリカをはじめとする肉の消費増加に伴う環境負荷を背負う国々に大きく依存している。 それに加え、日本は国内生産を向上する道を探しながらも、動物生産の成長率を満たす供給を生み出すための可耕地が不足しており、深刻な状況に陥っている。その結果として日本は年間1,200万トン以上の家畜用飼料を輸入しており、飼料価格の値上げや国全体の食糧安全保障において無防備な状態になっている。 日本のNDCs(国が決定する貢献)は進んでいるが、まだ十分ではない。 日本は、2019年に採択されたパリ協定の長期戦略として、生産性の向上に向け稲品種と家畜飼料を増加することにより、メタン排出を削減しながら、土地利用や土地利用の変更、および森林管理による炭素排出を削減するという新たな政策概要について説明している。実際のところ、G20国のうち、COP26の準備段階にて「国が決定する貢献(NDCs)」で家畜用飼料に言及したのはわずか5か国であり、日本はその中の1か国であった。また、2005年度の数字よりメタン排出を18.8%、亜酸化窒素を17.4%削減するという定量化可能な目標を掲げた唯一の国であった。 しかしながらこれらは稲田と肥料による排出量削減を目標としており、家畜用飼料による排出量削減は、今もなお原料生産からのCO2排出削減に主に焦点が当てられている。それに加え、カロリー摂取量の60%を輸入に依存しているという日本の現状が、排出削減に対する日本単独の努力を制限してしまっている。 輸入に依存する日本の現状は、畜産および低酸素の食糧システムへの移行に関する温室効果ガス排出において、世界各国の協力と努力の重要性を明示している。


「Where’s The Beef?(しかし実際には何を実現しようとしているのか?)」

2021年6月、FAIRRイニシアチブは投資家の声明としてWhere’s the Beefを発表した。本声明ではG20各国のNDCsの一環として温室効果ガス削減目標の不足が強調されている。この声明の目的は、G20の準備担当者の協力を得て、グローバルの温室効果ガス排出の3分の1(そのうち14.5%は家畜の生産による)を占めるグローバルの食糧システムがパリ協定の目標に及ぼす影響に関する認識を高めることである。この声明は、ネットゼロの達成に向けて食糧システム全体に対する説明を自国のプランに含め、COP26にて低酸素経済への移行に農業部門がもたらす重大なリスクについて話し合うよう呼びかけてる。我々はCOP26の議題に農業システムを加えるよう政府に働きかけており、是非皆様にも署名にご協力いただきたい。

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